老後に備えるには年金加入と地道な資産形成がなにより重要です。しかし、横田さん(仮名・63歳)は資産形成をしてこなかった上、過去15年間、厚生年金に加入していなかった会社で働いていたため、年金生活に不安を感じています。

一方、元経営者の上平さん(仮名・74歳)は当時経営していた会社を厚生年金に加入させず、従業員が厚生年金に加入できなかったことを心苦しく思いつつも、上平さん自身はお金が有り余り、使い切れないかもしれないと悩んでいます。

二人に直接的な関係性はありませんが、今回は会社の違法行為により厚生年金に加入できなかった横田さんと加入させなかった上平さんの老後の資産設計についてお伝えします。

会社を厚生年金に加入させなかった元経営者の生活

上平さんの資産は、現在約1億円、内訳は投資信託8000万円、預金が2000万円です。現在、これら資金を取り崩しながら生活をしています。といっても、生活費は別途とってあるため、これは上平さんのお小遣い用の資産です。

「今までゴルフの専属コーチ頼んだり、犬連れて妻と旅行したり、やっとここまでお金を減らしたんだよ。でも最近は行動範囲が狭くなって……。死ぬまでに使い切れるかな?」と話します。

投資信託は30代からコツコツ積み立ててきた資産で運用をやめた方が早く資産を使い切ることができるのですが、長年積み立ててきた投資信託のため、まだ運用はやめたくないとのこと。

上平さんにはお子さんがいますから、妻や子どもに残す方法もありますが、「家族には残すつもりはない」ときっぱり。「子どもに残したところで、子どものためにはならないでしょう」と言います。

また、妻に対しても「5年前まで2人で会社を経営していたので、妻も資産をたくさん持っています。残す必要はないんです」と言います。会社は1代で築き上げ、従業員は50名ほどいたようです。