次に国内株式型の資金流入額上位15ファンドについて確認します(図6)。

図6 2024年9月 国内株式型(DC専用ファンド)  拡大図表示

出所:三菱アセット・ブレインズ

ランキング表のとおり、インデックスファンドが大半となりました。アクティブファンドは6位の「ひふみ年金」、10位の「MHAM日本成長株ファンド<DC年金>」、11位の「スパークス・厳選投資ファンド(確定拠出年金向け)」と、いずれもグローススタイル色の強いファンドとなっています。

インデックスファンドはTOPIXに連動するファンドが中心ですが、当月は2位に「DC日本株式ESGセレクト・リーダーズ・インデックスファンド」がランクインしたことが特徴と言えます。このファンドはインデックスベンターであるMSCI社が開発した「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」に連動する投資成果をめざします。MSCIジャパンIMI指数を基として、その中からESG評価に優れた企業を選別し構築される指数です。

同指数は業種内で相対的に優れたESG評価の銘柄を対象とするため、業種の偏りが抑えられている点に特徴があります。組入銘柄は大企業を中心とした約250銘柄です。ESGに配慮している優良銘柄にインデックスを通じて選別投資したいという投資家から支持を集めているものと考えられます。

ESG投資はESG課題を考慮することで、パフォーマンスの向上につなげる投資です。下落リスクの抑制や投資対象企業の中長期的な企業価値の向上によりリターンの獲得をめざします。ESG課題は気候変動を始め企業経営にとって重要な要素となってきていますので、株式ファンドを始めとしたファンド選びにおいても、各ファンドがESGをどのように捉え運用に取り込んでいるかを把握することは重要かと思います。運用会社もこれらに応えるために、十分かつ適切な情報開示を行っていくことが引き続き期待されます。

資金流出入動向の説明については以上です。 

――ありがとうございます。最後に、直近DC向けにどのような商品が設定されたか教えていただけますか?

2024年7月~9月で新たに設定されたファンドはありませんでした。

DCファンドに限らず、新規設定ファンドは投信市場全体として低調となっています。

昨年までは新NISAの開始に伴い、ファンドの新規設定が増加する傾向にありましたが、年明け以降、比較的低水準となっています。

ただし、足元ではiDeCoの拠出限度額の引き上げといった制度改正もありますので、仮にDC市場への流入額に変化がみられれば、ファンドの新規設定動向も変化する可能性があるかと思います。

以上、パフォーマンス動向、資金流出入動向、新規設定ファンド動向についてお話しました。