――ありがとうございます。続いて、2024年7月~9月のDCファンドの状況について教えてください。
ここではDC専用ファンドの資金流出入動向について確認します。まずは図3のグラフをご覧ください。
7月の資金流出入額は770億円の流入超、8月は500億円の流入超、9月は770億円の流入超となりました。
おおむね堅調に資金が流入しましたが、8月には外国株式型の流入額が大幅に縮小した一方、国内株式型の流入額は増加しました。8月は上旬に金融市場が混乱する中で、外国株式型から資金を移すスイッチングの動きがみられたものと思われます。一方で、国内株式型は相場の下落局面をむしろ好機と捉えたのか、インデックスファンドを中心に資金が流入しました。
図3 ファンド分類別 月間流出入額推移(DC専用ファンド) 拡大図表示
次に図4のグラフをご覧ください。直近6カ月の資金流出入額の累積は、外国株式型が2180億円、複合資産型が1010億円、国内株式型が600億円となっています。
図4 ファンド分類別 月間流出入額推移(DCファンド) 拡大図表示
引き続き、外国株式型への流入がけん引していますが、流入額が減少する月も散見されたことから、これまでより勢いは鈍化しました。
複合資産型も相応の資金を集めています。複合資産型は市場環境の影響を受けにくいため、これまでと同程度の資金が安定的に流入しました。
国内株式型への流入はやや増加しました。相場の下落局面を中心に、資金流入が活発となっています。
次に、個別ファンドではどのようなファンドに資金が流入しているのか、外国株式型と国内株式型のカテゴリーについて確認します。
まず、外国株式型の9月の月間資金流入額上位15ファンドについてです(図5)。
図5 2024年9月 外国株式型(DC専用ファンド) 拡大図表示
ランキング表のとおり、上位15本のうち14本がパッシブファンド、インデックスファンドになりました。
アクティブファンドは3位にランクインした「三井住友・DC外国株式アクティブ」1本のみです。特定のスタイルによらず、先進国の株式指数であるMSCIコクサイと同程度のリスクで安定的に上回るリターンを目指すファンドです。
トップダウンとボトムアップからリサーチを重ね、有望な銘柄をピックアップするという比較的オーソドックスなファンドです。
インデックスファンドではMSCIコクサイに連動するファンドが多いですが、最近の傾向として、S&P500に連動するファンドが注目を集めています。
2位の「DC米国株式インデックス・オープン(S&P500)」、5位の「One DC米国株式(S&P500)インデックスファンド」、9位の「iシェアーズ米国株式(S&P500)(DC)」、14位の「野村米国株式S&P500インデックスファンド(確定拠出年金向け)」の4ファンドがランクインしました。
前回の2024年6月ではランクインしたファンドは3本、5位以上にランクインしたファンドは1本もありませんでしたので、S&P500インデックスファンドへの人気の高まりがみてとれます。
今後はこれらにMSCIオールカントリー・ワールド・インデックスに連動する全世界株式タイプのインデックスファンドが加わることも想定されています。インデックスファンドのベンチマークの多様化が進んでいくかもしれません。