三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年9月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の資金流入額ランキングでトップ4は前月と変わらず「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(流入額1468億円、前月1520億円)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(同1204億円、前月1181億円)、「アライアンスB・米国成長株投信 D」(同635億円、前月795億円)、「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」(同502億円、前月482億円)だった。前月に資金流入額が全般的に減少し、9月の水準も前月並みの流入額で大きな変化はなかった。

 

一方、前月は資金流入が目立った「日経225ノーロードオープン」(約152億円の資金流出)、「SBI日本株4.3ブル」(約55億円の資金流出)など国内株式ファンドは資金流出に転じた。国内株式は、8月5日に日経平均株価が3万1458円と7月末比で約20%下落したが、9月27日に3万9829円まで上昇した。短期間に25%以上も株価が上昇したため、この間に戻り売りや利益確定売りが出たものと考えられる。

◆9月新設ファンドに目を見張る資金流入、未上場株や社債に注目集まる

9月の資金流入ランキング上位で際立っているのは、9月に新規設定されたファンドへの資金流入額が大きかったことだ。流入額トップ4は前月と同じだったが、第5位に9月2日設定の「野村日本新鋭成長株ファンド」(流入額:477億円)が入り、第6位も30日設定の「グローバル・オポチュニティ・パートナーズ・ファンド」(同312億円)だった。そして、第11位に30日設定の「野村ブラックロック世界優良企業厳選ファンドB」(同155億円)、第19位に12日設定の「ひふみクロスオーバーpro」(同97億円)が入っている。そして、限定追加型の債券ファンドも第10位に12日設定の「GSグローバル社債ターゲット2024-09(限定追加型)」(同170億円)、第18位に30日設定の「ニッセイ・円建てグローバル社債/バランスファンド2024-09」(同98億円)がランクインしている。トップ20に6ファンドも新設ファンドがランクインしたことになる。

9月の新規設定ファンドは21本で前月の13本から大幅に増加し、設定額も前月の約310億円から約1370億円へと大きく伸びた。月間の新規設定額が1000億円の大台を超えるのは5カ月ぶりのことだ。しかも、今月設定された「野村日本新鋭成長株ファンド」と「ひふみクロスオーバーpro」は、いずれも未上場株式(プライベート・エクイティ)にも投資するファンドだ。今年2月に投資信託協会が定める規則が改正され、公募投信に未上場株式を上限15%まで組み入れることが可能となったことに対応して設定された新ファンドになる。未上場株式は、上場株式や債券などと異なる値動きをする資産としての性格もあり、機関投資家の分散投資手段として一定のニーズがある。それが、個人投資家も活用できるようになった。

このような新しい資産クラスを組み入れたファンドに、目立った資金流入があったことから、この分野での新規ファンドの供給が期待できそうだ。新しいジャンルとして注目したい。