投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、中国銀行。
中国銀行の投信売れ筋ランキング(窓口販売件数)の2026年1月のトップは前月第2位から「ROBOPROファンド」が上がった。前月トップだった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)は第3位に後退し、第2位には同行で2025年12月19日に取り扱いを開始した「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」がランクインした。第4位は前月同様に「三菱UFJ純金ファンド」で、第5位にも同じ12月19日に取り扱い開始した「WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)」がランクインした。
※中国銀行サイト「投資信託販売ランキング」の「投資信託販売件数ランキング(窓口販売)」に基づき編集部作成。期間:2026年1月
https://www.chugin.co.jp/single/account/toushin_ranking/
「WCM」は「予想分配金提示型」に人気集まる
中国銀行の売れ筋の変化には、その時々の新規取り扱いファンドが色濃く影響していることがわかる。2026年1月のランキングで第2位と第5位にランクインした「WCM 世界成長株厳選ファンド」(設定は朝日ライフ アセットマネジメント)は、中国銀行では2025年12月19日に取り扱いを開始したばかりのファンドだ。同ファンドが国内の投信市場で注目を集め始めたのは2025年8月頃だった。新興国を含む全世界の株式市場から成長株を厳選して投資するという同ファンドのコンセプトは、これまで高い人気を続けてきた「全世界株式(MSCI ACWI)インデックスファンド」にアクティブ運用の魅力をプラスするファンドといえた。
しかも、そのパフォーマンスが圧倒的に優れていた。たとえば、2026年1月末時点で同ファンドの過去1年間のリターンは41.39%、過去3年間では213.22%となっているが、代表的な「MSCI ACWI」連動型インデックスファンドは1年で21.75%、3年で102.04%という水準だ。インデックスファンドに対してリターンが2倍になる成績を残している。
同ファンドのパフォーマンスを支えているのは、運用する米国の運用会社WCM社の優れた銘柄選定能力にある。同ファンドでは「参入障壁の持続可能性」、「企業文化」、「構造的成長力」、「バリュエーション」などに基づいて銘柄を厳選。2026年1月末時点の組み入れ上位銘柄は、シーメンス・エナジー(ドイツ)、アップラビン(米)、ロールス・ロイス(英)、シーADR(シンガポール)、台湾セミコンダクター(台湾)などとなっている。エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベットなど米国のハイテク大手企業が上位にならぶ「MSCI ACWIインデックスファンド」とは大きく異なるポートフォリオになっている。運用ポートフォリオの中身が違うことが、既にインデックスファンドを持っている投資家がプラスαで投資する魅力になっている。
そのような好成績、かつ、インデックスファンドとは異なるポートフォリオを持つファンドを取り扱い開始したことで、投資家からの支持が一気に拡大したものと考えられる。毎月決算型で2025年12月から毎月1万口あたり400円の分配金を払い出している「予想分配金提示型」が販売件数ランキングで第2位になり、年1回決算型(分配金は極力抑制し複利効果で資産の成長をめざす)の「資産成長型」も第5位にランクインした。
一方、2025年12月にランキング第3位だった「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」(フィデリティ投信)は2025年11月19日に同行が取り扱いを開始したファンドだ。このファンドは、「3-7年先の企業価値を見据えて魅力的な高成長企業に投資する」ことをめざすファンドだ。ポートフォリオの中核になるのは「時代の潮流を捉えた長期的な成長企業」。エヌビディアやメタ・プラットフォームズなど足元の業績が好調で時価総額も大きな銘柄になるため、「S&P500」や「MSCI ACWI」など主要なインデックスの構成銘柄と重なる部分がある。ただ、これに加えて株価急上昇の可能性を秘めた「ニッチな急成長企業」、また、一時的にバリュエーションが割安になった「打たれ強い成長企業」にも投資する。「S&P500」や「MSCI ACWI」などのインデックスファンドに投資している投資家が、プラスαで投資するきっかけになるようなファンドだ。
そして、2025年9月に売れ筋ランキングの第4位にランクインし、11月には第3位にまで順位を上げた「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド」(ニッセイアセットマネジメント)は2025年9月2日に取り扱い開始のファンドだ。同ファンドは設定が2025年2月と新しく、AI投資拡大に伴って大きな成長が見込まれる電力の供給に関わる企業群に投資するファンドになっている。組み入れ上位は、GEベルノバ(米)、シーメンス・エナジー(ドイツ)、バーティブ(米)、シーメンス(ドイツ)、イートン(米)など、同じAI関連でもエヌビディアなど半導体株やテクノロジー株とは異なる銘柄群に投資している。このファンドも2026年1月末時点で設定来約1年間のリターンが50.7%と優れた成績になっている。
