投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、三井住友銀行。
三井住友銀行の投信売れ筋ランキングの2026年3月のトップ2は前月と同じで、トップに「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」、第2位が「三井住友・225オープン」だった。第3位には前月第5位の「SMBC円資産ファンド」が上がり、前月第3位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第5位に後退した。第6位にトップ10圏外から「エス・ビー・日本株オープン225」がランクインした。
※三井住友銀行サイトのファンドランキングから「販売額」「1カ月」に基づいて編集部作成。期間は2026年3月1日~3月31日。
https://fund.smbc.co.jp/smbchp/main/index.aspx?F=fnd_rank_sales_1m
イラン戦争で「円資産ファンド」の評価高まる
三井住友銀行の販売額上位ファンドの3月1カ月間の基準価額騰落率を振り返ると、トップの「世界のベスト」(設定はインベスコ・アセット・マネジメント)の分配金込み基準価額がマイナス7.25%、第2位の「SMBC・225オープン」(三井住友DSアセットマネジメント)はマイナス12.70%と大きく下落した。前月第3位から第5位に落ちた「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(ピクテ・ジャパン)はマイナス10.35%だったため、必ずしも価格が下落したから「押し目買い」に向かったということでもないようだ。トップ10順位の変化には、今後の展開への投資家の期待が込められているようにみえる。
トップを堅持する「世界のベスト」には、グローバルで株式に投資するアクティブファンドへの期待が依然として根強いことがうかがえる。そして、日本株ファンドへの『期待』の高まり、「ゴールド・ファンド」への『懐疑』、米国株ファンドへの『様子見』が感じられる。ただ、リスク回避的な運用をする「SMBC円資産ファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)が順位を上げているところなどには米国とイスラエルによるイラン攻撃とイランの反撃によって原油価格が急騰し、コントロールされつつあったインフレが再燃しかねないことに備える意識もまた高まっているといえるだろう。
「SMBC円資産ファンド」は、日本国債等を50%、日本株のマーケットニュートラル戦略を使った絶対収益型の戦略に30%、日本株式20%を基本に運用するファンドだが、3月末時点の資産配分では日本株式の比率を9.3%に落とし、現金等の比率を15.9%にまで高めている。3月は軟調に推移し、ボラティリティ(価格変動率)も高くなった日本株式への投資比率を落としたままにしている。3月末時点で過去1年間の騰落率が3.1%であるように、価格変動リスクを抑えて国内のインフレ率を超えるような運用成果をめざす安定的な運用を行っている。このような運用を行うファンドにも一定の投資ニーズがある。
4月に「日経平均」は大きく回復、米株ファンドも上昇
3月の世界の市場は、主要な株式市場が大きく下落したことで、「国内株式」、「外国株式(先進国株式)」、「新興国株式」はおおむね下落。「外国債券」や「海外REIT」、「国内REIT」なども下げた。2月末から新たに始まった戦争が世界の金融市場を混乱に陥れた格好だ。ただ、3月末頃を境に停戦への期待が高まったために下落していた株価等が急速に戻った。その中で国内株の代表的な株価指数である「日経平均株価」は4月上旬に上昇し、イラン戦争で下落した分をおおむね取り戻した。三井住友銀行で「SMBC・225オープン」や「エス・ビー・日本株オープン225」(三井住友DSアセットマネジメント)を3月に購入した投資家は、まずは投資が報われたということになる。「世界のベスト」も3月31日を底にして4月13日までの上昇で3月の下落分をおおむね取り戻している。3月の売れ筋ランクが落ちた「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」は株式ファンドと比較すると4月の反発力が弱いようにみえる。
一方、『様子見』であった米国株ファンドも4月に入ってからの値動きは堅調だ。ファンドの基準価額の動きでは「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」(三井住友DSアセットマネジメント)は4月13日の時点で基準価額が2月末時点を超えている。「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)の基準価額も同様の推移だ。米国は戦争の当事者であり、全世界株を考えた場合は、原油価格が1バレルあたり100ドル近辺で高止まりしている影響は経済成長の足かせになるだろう。株価の戻りがどこまで力強い状態を保つのか、そして、米国株ファンドの評価が株高によって高まっていくことになるのかなど、今後の展開を注視したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

