◆新興国株式ファンドの行方は? 中国回復は一時的? インドは?

9月24日に中国人民銀行が政策金利を0.2%引き下げ、近く預金準備率を0.5%引き下げると表明したことに併せて、不動産関連や株式市場対策など複合的な経済対策が発表されたことで、9月の下旬に中国株価が大きく上昇した。上海総合指数は9月末には9月23日比で21.37%上昇、深セン成分指数は同30.27%上昇した。香港のハンセン指数も同15.82%上昇している。その後、中国本土市場の上海と深センは建国記念日に伴う大型連休で休場となったが、香港のハンセン指数は本土市場が休場した10月7日まで一段高になった。

この中国の株価上昇が、建国75周年を祝う一時的な株高なのか、それとも、中国政府が財政出動など本格的な景気対策を追加して持続的な株高につながるのか市場の見方は分かれている。ただ、国内投資家の反応は、中国株価の上昇に冷ややかで中国株式ファンドへの資金流入は限定的なものになった。9月の流入額上位30位には中国株式を主要な投資対象とするファンドは入っていない。過去数年にわたって株価が低迷してきた中国株式市場だけに、投資家のマインドは低い。

一方、インド株式ファンドについては8月に資金流入額が細ったものの、9月には第15位に「HSBCインド・インフラ株式オープン」(流入額:113億円)が入っている。「高成長・インド中型株式ファンド」、「同(年1回決算型)」など、資金流出になっているファンドもあるが、残高が3870億円という大型の「HSBCインド・インフラ株式オープン」に物色意欲が戻ってきた効果は、その他のインド株式ファンドへの波及効果が期待できる。今後の推移を見守りたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩