地方銀行の8月の売れ筋は、国内株式インデックスファンドが浮上し、米国ハイテク株ファンドや半導体関連株ファンドが順位を落とした。北洋銀行で前月トップだった「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」が第2位に後退し、福岡銀行でトップだった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は第3位に後退した。代わって、北洋銀行では「株式インデックス225」がトップになり、福岡銀行では「ストックインデックスファンド225」が第2位に浮上。千葉銀行では「アムンディ・日経平均オープン」が、広島銀行では「インデックスファンド225」がそれぞれに第5位にランクインした。

ネット販売では国内株式インデックスファンドの選好はより明確だ。千葉銀行のトップに「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が前月の第3位からジャンプアップし、北洋銀行でも1位・2位を日経225インデックスファンドが占めた。依然として米国株式インデックス「S&P500」連動のインデックスファンドはトップ5に残り、また、広島銀行で新たに「次世代米国代表株ファンド『メジャー・リーダー』」が第4位に食い込むなど米国株ファンドの人気は続いているが、人気の勢いが国内株式インデックスに移ったようだ。

 

◆国内株式は「インデックス」と「高配当」

地方銀行の国内株式ファンドの人気は2つの流れがある。1つはインデックスファンドで、「日経平均株価(日経225)」が中心であるものの「東証株価指数(TOPIX)」もランキング上位に入ってくる。北洋銀行、広島銀行、福岡銀行は「日経225」が選ばれているが、千葉銀行では「TOPIX」が中心だ。銀行によって「日経225」と「TOPIX」の取り扱いに違いがあることは興味深い。

いずれにしても、国内株式インデックスファンドが売れ筋として浮上したのは、日経平均株価が史上最大の下げ幅(4551円)を記録するなど、8月初旬に国内株価が急落したことによることは間違いない。同時期に株価が急落した米国では、その下落分をすでに埋めるほどに株価が戻ったが、日本では8月末時点で下落の6割程度しか戻らなかった。米国株価を追いかけて国内株価も史上最高値を奪還へという期待は残っているだろう。

また、千葉銀行の店頭販売トップ、広島銀行では第4位に入っている「日経平均高配当利回り株ファンド」や、福岡銀行の店頭売れ筋第5位に食い込んできた「三井住友・配当フォーカスオープン」など、株式の配当利回りに着目した国内株式ファンドがある。国内株式インデックスファンドの人気は、株価が急落したことを受けた「押し目買い(株価の戻りを期待した買い)」の意向もあって、必ずしも中長期の展望を持った買いではない。株価が期待通りに反発すれば、一定量は「利食い売り」で解約されるものと考えられる。それと比較すると、配当利回りに着目したファンドへの投資は、やや腰が入っていると考えられる。現在の国内債券利回りは新発10年国債で年0.8%程度と非常に低い。これに対し、国内株式の配当利回りは年2%前後の水準にある。高配当利回りを選んでポートフォリオにすれば、一段と高い配当利回りが期待できる。その利回りを狙った投資であれば、年単位の投資ということになる。

売れ筋になっている「日経平均高配当利回り株ファンド」は8月末現在の月報によると予想配当利回りが年4.4%、「三井住友・配当フォーカスオープン」は年3.7%だ。年単位で配当利回りを得つつ、株式市場が全般的に上昇するのであれば、その値上がり益も狙える。年4%前後の配当利回りが期待できる間は魅力的な利回り商品として人気が続きそうだ。