【 補足 】
そもそも「財政検証」とはどういうものかお話します。 以前は「財政再計算」と呼ばれており、昭和48年から一定期間ごとに年金の保険料率と給付水準を計算していました。 これが、2004年の年金制度改正における年金財政のフレームワークの中で、
① 上限を固定した上での保険料の引上げ(最終保険料(率)は、国民年金17,000円(2004年度価格)、厚生年金18.3%)
② 負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)の導入
③ 積立金の活用 (おおむね100年間で財政均衡を図る方式とし、財政均衡期間の終了時に給付費1年分程度の積立金を保有することとし、積立金を活用して後世代の給付に充てる)
④ 基礎年金国庫負担(税負担)の3分の1から2分の1への引上げということが決定されました。
「マクロ経済スライド」というのは、毎年、名目手取り賃金変動率や物価変動率に基づいて年金支給額の改定を行う際に、それらがプラスとなるケースにおいて、公的年金被保険者の変動率(2024年度:▲0.1%)と平均余命の伸び率(同:▲0.3%)から計算される調整率の分だけ、年金支給額の上昇を抑制するという仕組みです。
また、マクロ経済スライドの調整終了年度の決定方法は、第1段階として国民年金(基礎年金)の調整終了年度を、国民年金の財政均衡により決定します。次に第2段階として厚生年金の調整終了年度を、厚生年金の財政均衡により決定するのです。その結果、国民年金と厚生年金の財政状況の違いにより、国民年金と厚生年金の調整終了年度がずれてしまっています。
こうしたことを前提に、人口や経済の動向を考慮し、少なくとも5年ごとに、①年金財政の見通しの作成、②公的年金の給付水準の自動調整(マクロ経済スライド)の開始・終了年度の見通しを作成し、年金財政の健全性を検証する「財政検証」を行うことになっています。
(執筆 : 花村 泰廣)
●「財政検証」から見えてくる今後の公的年金制度の課題とは? 次回の記事【高齢化と共働き世帯増加がカギに! 公的年金制度で今後考えられる「3つの見直し」とは】で詳説します。
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