所得代替率は61.2%に改善
財政検証では、公的年金の健康状態をチェックするわけですが、確認するポイントとしては次の3点になります。
① 所得代替率
② マクロ経済スライドの調整期間の終了年度
③ 年金額の水準
今回の財政検証では、2024年度のモデル世帯(会社員だった夫と専業主婦)の所得代替率が61.2%となり、前回の2019年度財政検証では、2024年の所得代替率が60.2%まで低下すると推計されていましたので、それを上回る結果となりました。
財政検証の見通しは、合計特殊出生率や平均寿命、入国超過数、就業者数、就業率などについて、いくつかの前提条件を置いており、中位を前提として下記のような4つのケースが推計されています。この中では「②成長型経済移行・継続」がベース予想となります。
【 所得代替率の見通し 】
「②成長型経済移行・継続」のケースでは、2024年度に61.2%となった所得代替率が、基礎年金の調整が終了する2037年度には57.6%まで低下するものの50%は維持される見込みです。
仮に過去30年間と同程度の経済状況が続いた「③過去30年投影」のケースであっても、基礎年金の調整が終了する2057年度に50%以上を維持できると試算されています。
さらに、この2つのパターンの年金額を見ると、下記のようになります。
【 モデル世帯の年金額の将来見通し 】
こうした結果を受けて、今後の年金改革においては年金給付額の目減りを抑えられるかということがポイントになりますが、そのための方策として5つのオプション試算が行われています。
次回のコラムでは、この5つのオプション試算と将来的な公的年金制度の課題について解説したいと思います。