配分指定書の配布・回収で「考える機会」をつくる

離転職といった個人の事情ではなく、企業として「考える機会」を提供するためには、退職給付制度の見直しや運用商品の除外が想定されます。しかし、双方ともに、簡単にできることではありません。

そこで、比較的実施しやすいのが、配分指定書の配布と回収です。定期的に拠出される掛金の資産配分を変更することで、少しずつリスク量を増やしたり減らしたりすることが可能になります。するべきことが明確なため、行動を促しやすいという面もあります。その際、判断基準になるような情報も伝える必要があります。たとえば、次のような内容です。

・配分する運用商品で運用結果が大きく異なる
・毎月の掛金の配分変更は、金額が大きくないので実施しやすい(スイッチングはむずかしいが掛金の変更は取り組みやすい)
・過去のデータではあるが、バランス型投資信託を10年間保有した場合、マイナスになる確率はとても低い
・タイミングを考えるのではなく、今から実施する

ペーパーレス化の流れに逆行する施策ですが、企業型DCを通じて投資に向き合う機会は重要です。また、DCの活用はもっとも税優遇のメリットが大きくなります。「資産運用立国」で投資やDC制度が注目されている今だからこそ、企業型DCの活性化を実現していただきたいと思います。