年代による差よりも、資格取得年による違いが顕著

年代による差があまりないのであれば、次は市場動向などの環境要因が考えられます。そこで、企業型DCの資格取得年(企業型DCで加入者になった年)で区切ってみると、明確な違いが浮き彫りになりました。

2010年代までに資格取得した場合、元本確保のみ派の人数が2割前後、投信派の人数は5~6割という傾向がみられました。残り2割の人が元本確保型と投資信託を組み合わせていて、中央(半々のところ)に少しだけ山がある、というイメージです。これは、どの年代でもほとんど変わりません。

それが2020年代の資格取得者から、変化がみられるようになります。

元本確保のみ派の人数が1割、投信派の人数が7~8割となり、元本確保型と投資信託を組み合わせた人は1割程度に減少しました。とくに20代では元本確保のみ派の人数は1割を切り、投信派の人数が8割を超えています。

最近の新卒入社者に投信派が多いことは認識していましたが、上の年代であっても同じ傾向である、ということがはっきりとわかりました。市場環境の好転やつみたてNISAの定着などが影響しているものと思われます。

「考える機会」が運用見直しにつながる可能性

上記で活用したデータは、2024年4月時点の掛金の配分割合です。にもかかわらず、資格取得年と現在の年齢で区切って明確な違いがみられることが企業型DC実施事業主の悩みにつながってきます。

30代はリーマンショック後から2010年代に入社した人が多く、20代と比較すると保守的な配分の人が占める割合が高いといえます。さらに、運用商品の変更はいつでもできるのに、資格取得時の配分のまま放置している人が大層という影響もあります。

一方で、2020年代に資格取得した人は、40代・50代でも投信派が多くなっています。つまり他の企業からの離転職者が、新たな企業でのDC資格取得を機に運用見直しを実施しているとも考えられます。このことは、「考える機会」があれば運用見直しにつながる可能性がある、ともいえるでしょう。