リーマンショックから15年超、アベノミクスによる株価上昇トレンドへの転換から10年超が経過しました。2024年になってから、日経平均株価は史上最高値を更新し、確定拠出年金(DC)の資産残高が大きく増えている方が多いことと思います。そんななか、企業型DCの実施事業主が気にされていることがあります。30代加入者の動向です。
掛金の配分割合は、元本確保のみ派と投信派に分かれる傾向
企業型DC実施事業主の危惧は、次のようなものです。
「最近、入社した20代は投資にアレルギーがないが、少し上の世代の30代は保守的で、運用結果も出ていないのではないか」
特定の企業をピックアップしてみると、そうした傾向もみられましたが、全体としてはどうでしょうか。そこで、野村證券が受託している企業型DC加入者約65万人分の傾向をデータから検証してみました。
毎月の掛金の資産配分に着目し、元本確保型商品(定期預金・保険商品)への配分を100%から0%(つまり投資信託100%)まで10%きざみで集計しました。その結果として、100%と0%の両端に人数が集中します(以降、元本確保型100%を元本確保のみ派、0%を投信派と呼称します)。
これは以前からみられる傾向で、投資信託を選ぶ人は全額を投資信託に配分し、そうでない人は元本確保型のみを選ぶことが多いといえます。
DC制度では、配分指定を1%単位で行えるので、元本確保型と投資信託の組み合わせも可能ですが、組み合わせる人は多くありません。棒グラフにすると、100%と0%に大きな山が存在し、間には少しだけ棒がある、というイメージです。このグラフの形状について、加入者全体と30代では、「違いがある」といえるほどの差は見られませんでした。