企業型確定拠出年金(DC)の継続教育が努力義務になったのは2018年5月1日です。今年で丸6年が経過しました。徐々に継続教育が定着しつつありますが、その効果や必要性について、数値化しにくいのが課題といえます。

金融広報中央委員会の「金融リテラシークイズ」

金融リテラシーの一部を手軽に確認できる「金融リテラシークイズ」をご存じでしょうか? 次のような5問で構成されています。

問1 家計の行動に関する次の記述のうち、適切でないものはどれでしょうか。
①家計簿などで、収支を管理する
②本当に必要か、収入はあるかなどを考えたうえで、支出をするかどうかを判断する
③収入のうち、一定額を天引きにするなどの方法により、貯蓄を行う
④支払いを遅らせるため、クレジットカードの分割払いを多用する
⑤わからない

問2 一般に「人生の3大費用」といえば、何を指すでしょうか。
①一生涯の生活費、子の教育費、医療費
②子の教育費、住宅購入費、老後の生活費
③住宅購入費、医療費、親の介護費
④わからない

問3  金利が上がっていくときに、資金の運用(預金等)、借入れについて適切な対応はどれでしょうか。
①運用は固定金利、借入れは固定金利にする
②運用は固定金利、借入れは変動金利にする
③運用は変動金利、借入れは固定金利にする
④運用は変動金利、借入れは変動金利にする
⑤わからない

問4 10万円の借入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は倍になるでしょうか。(選択肢省略)

問5 金融商品の契約についてトラブルが発生した際に利用する相談窓口や制度として、適切でないものはどれでしょうか。(選択肢省略)

皆さんは、どれを選びますか?

選択肢や正答については、「知るぽると」(金融広報中央委員会のWEBページ)に掲載されています。https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/literacy_quiz/

正答率が最も低かったのは問4の複利に関するもので、40.8%でした。複利については、金融リテラシーの国際比較をみても、日本のスコアは低いことがわかっています。低金利が長く続いた影響があるのかもしれません。

横比較が簡単に実施できる

上記の「金融リテラシークイズ」をDC投資教育で活用してみてはいかがでしょうか。
・クイズ形式は講義形式よりも興味をひきやすい
・各設問は4個あるいは5個の選択肢から選ぶので、実施が簡単
・横比較ができるので、効果を計れる

興味・関心をひく「つかみ」になるほか、実施の必要性もしくは効果を計るのにも使えます。一問20点で採点した平均点が年代別、男女別、都道府県別でも「知るぽると」に公表されており、平均点よりも低ければ、継続教育の継続的な実施の必要性が示されます。

逆に平均点よりも高ければ、DCを通じた投資教育が金融リテラシーを高めている、という証左にもなります。

なお、全国平均は50.6点となっています。