4月、新入社員を迎える季節となりました。確定拠出年金(DC)を実施されている企業では、社員研修の一環としてDCの説明を組み込まれていると思います。今回は、DCに初めて出会う人への情報提供について、考えてみましょう。

加入時の意思決定が老後資産形成に大きく影響

企業型DCの加入者は、2023年3月末で805万人を超えました(※1)。DC制度は自身のリスク許容度や目標金額などに応じて、運用商品を選び、適宜変更できる仕組みになっています。

では、運用商品を変更したことのある人は、どれぐらいいるかご存じでしょうか?
離転職の際には運用商品が現金化され、新たなDC口座で運用商品を選び直しますが、そうした人の統計がないため、離転職者は抜かして考えてみます。

入社時からDC口座が変わらない人の中でみると、運用商品の変更を経験した人は3割程度です(野村證券受託の企業型DC実績)。掛金部分の配分変更を1回でも実施したことのある人は33.5%、スイッチングをしたことのある人は29.3%となっています(※2)。この数値には運用商品の除外を機に強制的に運用商品を変更することになった人も含まれるため、自らの意思で運用商品変更をした人はさらに少ないと思われます。

こうした状況を逆に考えると、企業型DCの開始時や新規加入時に運用商品を決定した後、運用商品の見直しをせずに受け取り時期を迎える人が相当数に上る、と考えられます。

加入時の一時点での判断が、その後の資産形成に直結する人もいるわけですから、新規加入対象者への情報提供は、非常に重要なものといえます。

(※1)運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料」2023年3月末
(※2)2023年12月末の数値。加入期間は対象者によって異なる。