公務員の10人に1人がiDeCo加入者

2024年1月からNISA(少額投資非課税制度)が刷新され、各種メディアで取り上げられることも多くなっています。身近な人から「NISAって何なの?」と聞かれる機会が増えました。

同様に、7年前の2017年1月にはiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正が行われ、話題となりました。この制度改正はiDeCoの加入対象者のすそ野を大きく広げるもので、公務員や確定給付企業年金(DB)の加入者、国民年金の第3号被保険者等が、新たに加入できるようになりました。

その後のiDeCoの加入者数の推移をみると、2017年から加入対象になった公務員の増加が目立ちます。直近の公表数値では公務員のiDeCo加入者は約61万人(※1)と、対象者の10%を超えています。

※1 国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」2023年11月

共済年金の変更がiDeCo加入者を増やした?

公務員のiDeCo加入割合が高い理由の一つに、共済制度の改定による影響が考えられます。

公務員の年金制度はiDeCo改正の1年3カ月前の2015年10月に実施されました。2015年9月までは「共済年金」でしたが、2015年10月以降は厚生年金に一本化され、保険料率や給付水準、給付設計が厚生年金に統一されました。これにより、公務員は現役時の保険料負担が増加するとともに、給付は厚生年金と同等まで引き下げられることとなりました。

同時に、公務員に特有の「職域加算」が廃止され(※2)、「退職等年金給付」が新設されています。「退職等年金給付」は半分を終身年金で、半分を有期年金(「10年」「20年」「一時金」から選択)で受ける仕組みですが、「職域加算」よりも1割程度給付が引き下げられる設計となっています。

老後のための自衛手段を考える必要性が高まる一方で、iDeCoが活用できるようになるタイミングが重なったといえます。

※2 2015年9月までに65歳に到達している人は、それ以前と同様に共済年金から職域加算を受給。また、2015年9月以前に共済年金に加入していた場合は、加入期間に応じた職域加算を受給。