最大の課題に直面して導き出した「新制度」
このプロジェクトの課題は、役職を外れたシニア社員が関連会社へ出向する際に、「それでは元の会社に戻れない」と嫌がる人が多かったことでした。また、出向すると給与形態が出向先に準じて下がることも問題でした。そのため、シニア社員のモチベーションも出向先でのパフォーマンスも下がってしまっていたのです。
Nさんは大変悩みましたが、ここである解決策が浮かびます。その解決策とは、「あくまで所属は今の会社で、兼業という形で週2日程度外部の会社に行く」という兼業制度を作ることにしたのです。そうすることで給与水準は保たれ、安心して兼業先で力を発揮できるようになると考えました。
Nさんが提案した兼業制度は社内でも承認され、とうとうスタートすることになりました。
この制度では、まず兼業を受け入れてくれる会社を見つけることが課題です。そのためには兼業先の会社にとってのメリットを説明する必要があり、Nさんは兼業先でシニア社員が専門性を発揮して問題解決できることアピールしようと考えました。そこで、Nさんは直接兼業先の会社に訪問し、どんな人材を必要としているのか聞き出すことから始めました。
会社のニーズを聞き出すために、社長と現場の責任者から課題や困りごとを聞き出すと、面白いことに、Nさんは誰よりもその会社のことが分かるようになってきました。兼業先の会社の人たちにとっても、自分達では気付いていないことがNさんと話すうちに明確になることもあったようです。
●そしてこの後、Nさんの“ある気づき”をきっかけに、制度の利用者が爆増することに……。ヒントは兼業先に企業との対話の中に隠されていました。後編【「まさに仲人」シニア社員を大活躍に導いた40代男性が、波乱万丈な仕事人生で感じた「最大のやりがい」】で詳説します。