自動車メーカーで長年活躍してきたNさん

Nさんは地元九州にある大手の自動車メーカーに入社後、転職することなく同じ会社で働いています。地元で安定しているところが会社選定の理由でした。生産管理、原価管理に携わる中でリーマンショック、災害支援などを経験し、波乱万丈の仕事人生を歩んできました。

最初は新型車を取り扱う仕事だったので、他部門や本社との日程調整などで多くの部署に関わることになり、随分と調整能力が鍛えられたそうです。また災害や経済変動の影響で販売が低迷した時期は、予算のやりくりや収益対策に頭を悩ませてきました。

人生の転機になった異動と新プロジェクトへの挑戦

入社して25年目に、Nさんに大きな転機が訪れます。あるプロジェクトを担当したことをきっかけに、人事部へ異動となったのです。

始まりは、本社の経営陣に自社の経営上の数字や課題を提案することになり、担当者として白羽の矢が立ったことでした。生産の現場と会計業務に精通していたので適任だったのです。

Nさんは突然のことで戸惑いましたが、何とか短期間でこなすことができました。その仕事が人事部門に関わっていたことから、そのまま人事部に異動することになります。

また、異動後はすぐに新しい挑戦が始まりました。当時、人事部では「会社のシニア社員の活性化」が大きな課題になっており、今度はその改善を頼まれたのです。会社としてもシニア社員の人数が増加してきたので、いつか取り組まないといけない案件でした。

着任にあたって、Nさんが当時の副社長から言われた言葉があります。

「役職を離れた社員は長年会社のために尽くしてきてくれた人たちなので、リスペクトして接してほしい」

Nさんはその時47歳。その言葉の意味を自分事として考えられませんでした。