海外ETFなら、円への交換を自分のタイミングで行えるメリットも

一般的な投資信託は、良くも悪くも円換算というフィルターがかかるため、円安(ドル高)のときはプラスの、円高(ドル安)のときはマイナスの影響が出るが、米国ETFなら強制的に円換算されることなく、常にドル建てで資産が評価される。保有する米国ETFを売却しても、原則はドルのまま売却代金を受け取れるので、円資産が必要になるまでドルで保有し、自分が良いと思ったタイミングで円に交換できる(証券会社によっては、米国ETFの購入時と売却時ともに「円貨決済」を選択することで米ドル⇔日本円の両替を代行してもらうことが可能。ただし、所定の為替手数料がかかる)。

以上をまとめると、日本円に交換するタイミングを自分で見極めたいという人、資産の一部をドルのまま保有し続けたいという人は、「オールカントリー」に限らず、海外ETFを選択肢に入れてもよいだろう。ただし、ETFは成長投資枠で保有するという前提で非課税枠を管理してほしい。というのも、1日に1回公表される基準価額で取引を行う投資信託の方が、積み立てとの相性は良いためだ。実際に、つみたて投資枠の対象ETFは、投資信託と比べて極めて数が少なく、「新NISAの対象ETF」というと、事実上、成長投資枠の対象商品を指すこととなる。こうした特性を考慮に入れると、ETF全般は、成長投資枠で活用することをおすすめしたい。

かつてはコスト面で圧倒的な優位性があったため、「低コスト商品」と一括りにして語られがちなETFだが、実際にはさまざまな活用方法がある。特に近年は、投資信託の信託報酬も低下傾向にあり、表面的なコスト水準だけでETFと投資信託を比べることが難しくなっている。それぞれの特徴を把握した上で、ニーズに合わせ、両者を使い分けてみることをおすすめしたい。