新NISA×オールカントリー投資のもう1つの選択肢、海外ETF
一方で、為替変動に一喜一憂することなく、新NISAで「オールカントリー」を保有する方法もある。成長投資枠の対象商品となっている海外ETFである。
海外ETFの解説に入る前に、まずは、新NISAで対象となった、ETF(上場投資信託)について説明しておこう。
ETFは一般的な投資信託のように、さまざまな投資対象資産をパッケージ化し、ファンドという形態で運用を行う点では共通しているが、その名称の通り、証券取引所に上場しているというところに大きな違いがある。
上場しているので、株式市場の立会時間中であれば、いつでもリアルタイムの価格で売買ができる。これこそが、ETFの最大の特徴であり魅力でもある。また、価格が下落したタイミングで買い注文を入れたり、反対に上昇したタイミングで売り注文を入れたりといった機動的な取引ができるほか、自分が買いたい(売りたい)価格をあらかじめ指定して発注する「指値注文」も可能だ。
ETFには、日本の法令に基づいて日本で組成され、日本国内の証券取引所に上場している「国内籍ETF」と、外国の法令に基づいて外国で組成された「外国籍ETF」がある。証券会社では一般的に、国内籍ETFのことを「国内ETF」、外国籍ETFのことを「海外ETF」と呼ぶことが多くなっている。
国内ETFはすべて日本の取引所に上場しているため円建てで、一般的な投資信託と同様、海外資産に投資していても、円換算で評価がなされる。対して海外ETFは、外国の取引所に上場している銘柄と、本数は少ないが、日本の取引所に上場している銘柄もある。日本の取引所に上場している海外ETFは、日本円で取引を行い、外国の取引所に上場している銘柄は、現地通貨で取引を行う。米国の法令に基づいて組成され、米国の取引所に上場する米国ETFは、米ドル建てで取引を行うことになる。
近年は、米国株人気の高まりとともに、海外ETFの一種である米国ETFの認知度も高まってきた。実は「オールカントリー」も、2008年設定の「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」が“元祖”で、日本の証券会社でも取引ができる。なお、同ETFのティッカーシンボル(銘柄の識別コード)は「ACWI」である。