企業型確定拠出年金の放置が招く「致命的なミス」
企業型確定拠出年金を実施する会社は、加入する従業員に投資教育を行いますが、教育を受けてもなお、商品を選ぶのが困難な人もいます。
会社が掛金を毎月拠出しても、加入者が商品を選ぶ指図をせずに一定期間が経過すると、自動的に会社があらかじめ指定した運用商品で資金を運用する指定運用方法が適用される場合があります。
「確定拠出年金実態調査結果(概要版)」によると、指定運用方法を導入している会社は全体の38.2%で、そのうち69.7%が元本確保型商品を指定運用方法としています。つまり、自分で運用商品を選ばなかった人は、自動的に預貯金や保険などが積み立てられている可能性が高いといえます。
もっとまずいのは、会社が指定運用方法を導入していないケースです。加入者が運用指図をせず、会社にも指定運用方法がない場合、拠出された積立金は、運用商品が指定されない未指図資産となります。未指図資産は預貯金でもないので、資産が増えないばかりか、利息も一切つきません。
せっかく、会社に企業型確定拠出年金制度があるのに、ほったらかしにした結果、退職金や企業年金が少なくなってしまうというのはかなり致命的なミスです。
「そういえば、うちの会社にもDCがあったな」「運用商品の説明があったけど、記憶に残っていない」「転職前の会社に企業型確定拠出年金があったけど、どうしたっけ?」などなど。会社がやっている制度だからといって、真剣に向き合わず、ほったらかしにしすぎると、将来大損してしまうかもしれません。
心あたりのある方は、いますぐ、企業型確定拠出年金の加入者専用webサイトなどで運用状況を確認してみてください。
参考
・企業年金連合会「確定拠出年金実態調査結果(概要版)」
・運営管理機関連絡協議会「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)」