会社を退職するとき「退職金が支給されるのは当たり前」と思っていませんか? 厚生労働省が毎年行っている「就労条件総合調査」で、5年ぶりに発表された退職給付(一時金・年金)制度の調査結果を見ると「退職給付(一時金・年金)制度がない」という企業が、平成30年から5.3%増え、全体の24.8%になりました。

会社に退職給付制度がなければ、退職金はもらえません。では、会社に退職給付制度があれば、100%退職金をもらえるのでしょうか? 今回は、“退職金がもらえなくなる落とし穴”について、さまざまな角度から調査してみました。

会社が倒産しても、退職金は原則「もらえる」

会社に退職給付制度があり、支払い要件等が就業規則や退職金規程に明文化されている場合は、会社は退職金を支払う義務が発生します。

したがって、会社が定める退職金規程の退職金支給要件に当てはまる人は、退職金がもらえるのが原則です。たとえ会社の経営が悪化して資金が足りなくなっても、減額や未払いは許されません。

とはいえ、会社に支払うお金がなければ、現実的に払ってもらえないという問題が起こってしまいます。社員に退職金をもらう権利があっても、「会社が倒産して1円ももらえない」という事態はないわけではありません。

会社が倒産して退職金がもらえないという場合は、独立行政法人労働者健康安全機構が実施している「未払賃金立替制度」を利用すると退職金を含む未払賃金の一部を立替払いしてもらえる場合があります。

立替払いの額は、未払賃金総額の8割となっていますが、未払賃金総額には限度額があり、45歳以上は370万円が限度です。立替払いしてもらえるのはその8割にあたる296万円が最高額ということいなります。

つまり、長く働いて多くの退職金をもらう予定だった人も、会社が倒産してしまうと、ごく一部しかお金を取り戻せない場合があるのです。

しかし、実は、会社が倒産しても、退職金がもらえるというケースもあります。それは、会社が退職金を社内でプールせず、外部に積み立てを行う確定給付企業年金や確定拠出年金、中小企業退職金共済といった制度を利用している場合です。

これらの制度では、積み立てられた年金資産は事業主および事業主の債権者から法的に分離され、退職給付以外に使用できないルールとなっているため、会社の経営悪化や倒産の影響を受けることなく、退職金を受け取れます。