20代でも34.9%の人が「元本確保型」を選んでいる

もっとも、企業型確定拠出年金の加入時からずっと元本確保型商品のみで運用し続けていたのか、50代60代になり退職が近づいたため、投資信託を元本確保型商品にスイッチングした結果、元本確保型商品のみの運用になっているのかといった細かいことは不明です。

しかし、「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)の年代別商品選択割合を見たところ、企業型確定拠出年金の元本確保型商品の選択割合(預貯金と保険の合計)は、10代36.3%、20代34.9%、30代32.6%、40代34.5%、50代42.2%、60代51.3%で、10代~40代でも3割以上の人が、元本確保型商品を選択していることが分かりました。

これを、iDeCoの年代別商品選択割合と比較してみると、iDeCoで元本確保型商品(預貯金と保険の合計)を選択している人は、10代14.1%、20代14.1%、30代16.8%、40代25.7%、50代38.7%、60代48.6%で、年齢が上がるにつれ元本確保型商品を選ぶ人の割合が増える傾向になっていました。

同じ確定拠出年金なのに、企業型確定拠出年金は若くても元本確保型を選ぶ割合が高いのは、なんとなく解せないところです。せっかく、会社が積み立ててくれるお金で退職金や企業年金を増やすことができるかもしれないのに、その機会を逃してしまうのは、もったいないような気がします。

企業型確定拠出年金をどんな商品で運用するかは、加入者である従業員の自由です。どうしても元本割れリスクに耐えらない人が、確固たる信念をもって元本確保型商品をコツコツ積み立てているというならば、それはそれでよしだと思います。

しかし、実は、自分の意思で元本確保型商品を選んだわけではないのに、企業型確定拠出年金が預貯金で運用されている人もいるのです。

企業型確定拠出年金は、会社が提示した運用商品の中から、1または2以上の運用方法を選択して、加入者が運用の指図を行うのが原則とされていますが、「どういう金融商品を選んでいいか分からない」「どう運用すればいいか分からない」という人も中にはいるようです。