最も選ばれているのは「預貯金」

これらのラインナップのうち、企業型確定拠出年金加入者はどのような運用商品を選択しているのでしょうか?

運営管理機関連絡協議会の「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)」によると、2023年3月末時点の運用商品選択状況は、元本確保型の選択割合が39.7%(うち、預貯金28.3%、保険11.4%)で、価格変動型(投資信託商品)の選択割合が59.8%となっていました。

投資信託の中でも、最も多く選択されていたのはバランス型で20.1%、2番目は外国株式型で17.1%、3番目が国内株式型の12.8%です。こうしてみると、運用商品として最も従業員に選ばれているのは、選択割合28.3%の預貯金ということになります。

投資信託の中でも、バランス型を選択する人が多いことから考えても、やはり将来もらう退職金や企業年金が減ってしまっては困るという心理が働き、手堅い運用になっているのかもしれません。

「元本確保型商品のみで運用」が8割以上いる会社も…

運用で増えるかもしれないと分かっていても、将来の退職金や企業年金になる資産だと思うと、冒険はできないという気持ちは理解できます。そこで、掛金の全部を投資信託で運用するのではなく一部を定期預金や保険商品で運用し、リスクを減らす選択している人もいるだろうということは察しがつきます。

しかしさすがに、元本確保型のみで企業型確定拠出年金を運用している人は、ほとんどいないだろうと思っていましたが、「確定拠出年金統計資料(2023年3月末)」によると、元本確保型のみで運用している人の割合が2023年3月末時点で26.9%もいるということが分かりました。

また、「確定拠出年金実態調査結果(概要版)」では、元本確保型商品のみで運用する加入者が8割以上いる企業が5.0%あることも報告しています。

ということは、企業型確定拠出年金加入者の中には、自分で運用することによって、運用利回り15%超を達成している人もいれば、ほとんど利息がつかない積立貯金と変わらない状況の人もいるということです。