投資信託の役割を再考する

これまで4回にわたってお話ししてきました『NISAや確定拠出年金で役立つ賢いお金の育て方』。前回は、株式投資では避けることのできない株価変動の影響を抑制する“何時でも”“選ばず”投資する考え方とその効果を確認いただきました。

今回(第5回)のテーマは、“手間をかけずに「株式」に投資する〜投資信託を利用する”です。投資信託を利用するというと、「そんなことはわかっているよ」「もう投資信託に投資しているよ」とおっしゃる方も多いでしょう。しかしながら、さまざまなお考えやご意見に接していますと、投資信託を誤解したまま利用されているケースも多いと感じています。

今回はそうした誤解を解きながら、投資初心者の方でも容易に実行できる投資信託を利用した株式投資について考えます。

投資信託は投資のための便利な“道具”

まずお話ししたいのは、投資信託は投資を実行するための道具にすぎないということです。 

皆さまは投資信託を使って、株式や債券などの“お金のなる木”に投資されるのであって、投資信託そのものに投資するわけではありません。道具を選ぶ際には、目的や使い方を決めないと選ぶことはできません。投資信託を選ぶ前に、何にどのような投資を行うかを決める必要があります。

「投資信託がリターンを産む」ので「良い投資信託を選ぶ」のではありません。「こんな投資がしたい」が「投資信託を使うと便利」なので「一番便利な投資信託を選ぶ」わけです。

実行したいのは“何時でも”“選ばない”株式投資

これまで4回にわたり、どのような資産運用をするのが賢明かを考えました。頼りになる“お金のなる木”である株式への投資リターンを安定させるために、“何時でも”“選ばず”投資することが株式投資への不安感を軽減させる方法であることをご説明しました。今回投資信託についてお話しするのは、”何時でも“”選ばず“株式投資を実行するには、投資信託が非常に便利だからです。

投資信託で“何時でも”“選ばず”株式投資

“何時でも”“選ばず”長期分散投資を自ら実行するには、膨大な資金を有し、膨大な数の銘柄に投資して、それらを堅実に管理することが必要ですが、実際には不可能です。代わりに投資信託を利用することが不可欠ですが、投資信託は下表で示すようにその他にもさまざまなメリットを有する極めて便利な資産運用のための道具です。

出所:株式会社お金の育て方作成

また、投資信託を利用することによって、(新)NISAや確定拠出年金の枠内での資産運用にも容易に応用でき、そのメリット(税制優遇/長期投資など)も享受しやすくなります。