「小型株効果」を株式投資の成果の一部に
前ページで小型株への投資の有無により投資成果に大きな差が生まれる可能性があることを見ていただきました。この小型株効果が今後も生じるのであれば、インデックスファンドを利用する場合には、より対象が広く、できれば小型株まで投資対象とするものを選ぶ方が賢明でしょう。
小型株効果とは?
小型株効果とは、株式の時価総額が小さい小型株は、時価総額の大きい大型株よりもリターンが相対的に高くなりやすい傾向のことです。理由は理論的には説明できていませんが、長期間にわたり世界のさまざまな国の株式市場で見られる現象です。
下記のように全世界株式指数で大型株+中型株指数と小型株指数を比較すると、年率2%を超える小型株効果が見られています。先の全世界株式インデックスの例のように、小型株が約13%を占めるポートフォリオであれば、年間0.3%前後のリターンの底上げが期待できる可能性があります。また前ページの表の過去データでは、年間0.9%のリターン差を生んでいます。インデックスファンドであれば運用コストの差と同等あるいはそれ以上の影響度があるのではないでしょうか。
(注)円換算リターン。ネット配当込みベース。
出所:MSCIの開示情報より株式会社お金の育て方作成
小型株効果の生じる理由と今後の継続性
小型株効果の理由については、主なものとして以下のような説明がされています。
・市場での注目度が低いため割安に放置されやすい
・成長企業が多く今後の利益成長がより大きく期待できる
・調査・分析しているアナリストの数が少なく銘柄情報を得にくい
いずれも短期的に変化するような状況は考えにくいでしょう。小型株効果は今後も継続して生じる可能性が高いと考えられます。
まとめ
本稿がご紹介する“選ばない”株式投資、言い換えれば“攻めの”分散投資により、小型株効果も資産運用に活かすことができることになります。小型株も対象に含め幅広い銘柄に徹底して分散投資を行うことで、リスクを抑えながら期待リターンを高めることができます。したがってインデックスファンドを利用する場合には、地域や国あるいはテーマなどで投資対象を意図的に狭めることなく、かつ小型株を含む、より対象の広いインデックスファンドの利用が賢明でしょう。
次回(第6回)は、資産運用の成功確率をさらに大きく高めるために、ご自身に合わせて長期・積立で「株式」に投資する方法について考えます。