30年以上勤めてきた会社が買収され、賃金制度の見直しによって年収が50万円以上ダウン。その上、10年固定金利の住宅ローンの固定金利期間が間もなく終わり、このまま金利が上昇すると返済額が跳ね上がって返せなくなってしまうかもしれない……。

定年まで10年を切った段階で訪れた家計の大ピンチになすすべもない私は、妻に引きずられるようにしてファイナンシャルプランナー(FP)の川端さんの事務所を訪れました。

●前編:【普通の会社員を襲ったお金の二重苦…崩壊した“ゆとりある老後”への幻想】

お金の専門家に悩みを打ち明けてみると……

川端さんの事務所の前に立った時はまだ、心の中では「こんな窮状を人に話すのはわが家の恥だ」「いくらお金のプロだと言っても1回相談したくらいでどうなるものでもないだろう」というネガティブ思考が渦巻いていました。

しかし、出迎えてくれた川端さんは絵に描いたようなエビス顔で、「暑い中をよくお越しくださいました」と勧められた麦茶をいただいているうちに、不思議と心が落ち着いてくるのを感じました。

川端さんは聞き上手でもありました。その福々しい顔に穏やかな笑みを絶やさず、随所で相づちを打ちながら、私たちの現状と課題を巧みに引き出し、論点の整理をしてくれました。そして、データや自身の経験に裏打ちされた言葉で、私たちの漠然とした不安を見事に解消してくれたのです。