その後も続いたG&G社代表の悪行

ここから先に出てくる人物名は一応、イニシャルにしておきましょう。G&G社の代表はHで、Sという共犯者と共に詐欺を働いていたのですが、1999年に全国紙の地方版に、Hのインタビュー記事が掲載されました。

「革新的証券経営者」という見出しで、群馬県前橋市に本社を置く南証券という証券会社を買収、その経営者に納まったという内容です。

南証券の顛末については、インターネットで「南証券事件」と入力して検索すれば、すぐに出てきます。Hは南証券を通じて、「ミナミ・ハイ・イールド・ボンド」という名前の債券を発行して、資金集めを始めました。

仮にもライセンス業である正式な証券会社を、G&Gのファンドを通じて集めた資金を用いて買収。それを隠れみのにして、あたかも合法的な金融商品であることを装い、資金集めを続けたのです。しかし、Hの悪行は意外な結末を迎えました。

迎えた意外な結末

実は南証券の内部通報者を確保して、ミナミ・ハイ・イールド・ボンドの実態を記事にしようというその日の夜。なんとHが南証券の金庫にあった、顧客から預かっている株券約32億円相当を、持ち逃げして行方をくらましてしまったのです。

もちろん、この32億円相当の株券を、簡単に換金できたとは思えません。株券の番号が控えられているので、仮にその株券を証券会社に持ち込んで換金しようとしても、断られるのがオチです。ちなみに、現在は株券という本券は発行されておらず、すべて電子化されていますが、当時はまだ株券が存在していました。

結局、この32億円相当の株券はどうなったのか。事件直後、関西の証券会社に、行方不明となった株券が持ち込まれたといった報道もありましたが、金額は非常に小さく、大半の株券はそのまま行方不明。一部では、地下経済に流れたといった話もありましたが、実際のところは何も分かっていません。

Hが行方をくらましてから3年がたった2003年9月。とうとうHは沖縄で逮捕されました。インターネットの検索サイトにホームページを登録するなどと持ち掛け、手数料目的で62万円をだまし取ったということで逮捕されたのです。懲役11年。健在なら今ごろは57歳で、社会復帰しているはずですが、果たしてどうしていることやら。