観光庁が2023年7月の「宿泊旅行統計調査」を発表しました。それによると、日本人の延べ宿泊者数がコロナ禍前の水準を回復したとのことです。

夏休みに旅行へ出掛けた方も多いと思いますが、なかにはハイシーズンの宿泊料金に驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

筆者の数少ない経験からの話で恐縮ですが、秋口に東北地方へ出張を予定しており、ビジネスホテルを予約しようとしたところ、この春先に宿泊したのと同じところなのに、宿泊費が倍増していたことに驚きました。

よく調べてみると、その日は土曜日であるのに加え、大規模な花火大会が予定されており、その観客が宿泊するという特殊な事情があったにせよ、恐らくホテルや旅館などの宿泊費は、今後も上昇傾向をたどるのではないかと考えられます。

コロナ前の水準を上回った宿泊者数

さて、統計の中身に戻りましょう。

2023年7月の延べ宿泊者数は5282万人泊となり、6月の4533万人泊に比べて16.52%増であり、前年同月比だと32.5%増でした。また、新型コロナウイルスの影響が出る前の、2019年7月の延べ宿泊者数と比較すると、2023年6月のそれは2.0%増となり、ようやくコロナ禍前の水準を上回ってきました。

ちなみに2023年7月の数字を、日本人延べ宿泊者数と外国人延べ宿泊者数に分けてみると、日本人延べ宿泊者数は4219万人泊で、2019年7月比で2.9%増でした。

また、外国人延べ宿泊者数は1063万人泊で、2019年7月比は▲1.6%でした。外国人延べ宿泊者数は、2019年同月比でまだマイナスではありますが、マイナス値は徐々に縮小しています。

また、8月には中国が、日本への団体旅行を3年半ぶりに解禁しました。現状、中国政府は福島第一原子力発電所の処理水排水をめぐって、日本に対する反発を強めているだけに、日本への団体旅行を解禁したからといって即、それが中国からのインバウンド観光客増につながるかどうかは微妙なところです。

しかし、この問題が解決へ進めば、中国からのインバウンド観光客が増加し、いよいよ外国人延べ宿泊者数の2019年同月比は、マイナスからプラスに転じることになりそうです。