人手不足で失われる収益確保の機会

では、人手不足を解消するためにはどうすれば良いのでしょうか。

ここで問題になるのが新型コロナウイルスの感染拡大が一段落したところで進行したインフレです。消費者物価指数の上昇率が意外なほど根強く続くなか、企業も従業員の生活を守るため、賃金の引き上げなどを行っています。

結果、コロナ禍で宿泊業から他の業態への転職を余儀なくされた人たちの賃金も、新しい職場で引き上げられているため、いまさら賃金水準など待遇面でコロナ禍と同じものを提示されたとしても「戻る気がしない」というのが正直なところでしょう。実際、宿泊業では、新卒の採用に苦戦しているところが増えています。

このように人手不足が深刻化する一方、インバウンド観光客を含めて宿泊者数が増えれば増えるほど、需要に応えられず、宿泊を断らざるを得ず、収益確保の機会を失ってしまうホテルや旅館も増えてしまいます。

これでは、いくら政府がインバウンドを促進して交流人口を増やし、経済活性化につなげようとしても、絵に描いた餅になってしまう恐れがあります。

解決策は「宿泊料金の引き上げ」にあり?

もともと宿泊業は全体的に賃金水準が低い傾向が見られましたが、そのようなことを言っていられる状況ではないということです。

宿泊業の人手不足を解消するためには、従業員の賃金を引き上げるしかありません。もちろん、無い袖を振ることはできませんから、従業員の賃金を引き上げるのであれば、相応に宿泊料金も引き上げ、売り上げを増やすしかないでしょう。

インバウンドによる経済活性化を目指すのであれば、宿泊業に従事する従業員の待遇改善は必須です。