福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出が始まりました。私は専門家ではないので、この方法が正しいかどうかを判断する立場にはありません。ただ、恐らくこれは資産運用などにも役立つのではないか、という1つの視点が得られたので、それを紹介しつつ、いろいろと考えてみたいと思います。

日本の損失を強調する報道が多数

処理水海洋放出が始まったのと同時に、中国政府と香港政府が、日本産水産品の輸入全面禁止措置を打ち出してきました。そのことを盛んに取り上げたニュースもあったので、中には「日本にとって大変なダメージだ」などと思った方もいるのではないでしょうか。

実際、この件について取り上げたレポートが複数機関から出されていますが、いずれも「大変なことが起きてしまった」という印象を植え付けるような見出しと内容でした。

例えば、企業の倒産情報などを扱っている帝国データバンクは、8月25日に「緊急調査」として「中国の日本産水産品『禁輸』 食品輸出700社に影響」という見出しのレポートを発表しています。

「実際に、中国へ直接・間接的に輸出を行う食品関連企業は、対中輸出全9270社のうち700社超におよび、1社あたりの取引における中国向けの割合も50%を超える企業が多いなど、『最大の得意(販売)先』として中国市場の存在感は大きい」と書かれています。

確かに「700社超におよび」、「50%を超える」などといった数字を見ると、「これは大変なことが起きている。日本経済、日本の水産事業者は大丈夫なのか?」などと思ってしまいがちなのですが、よく数字を見て考えてみましょう。