金融商品のお得そうな売り文句にだまされないために

さて、こうした数字のトリックは、資産運用の世界でも実在します。例えば詐欺的商品が典型的で、「月利2%確定・元本確保型」などといった表記をするものがあります。

月利2%と言うと、何となく達成できるような気がするのですが、これを年利にすると24%です。元本確保で年24%を達成できる金融商品など、今の時代に存在するはずがありません。

また、銀行の定期預金のキャンペーン金利なども、表記されている条件をしっかり確認する必要があります。例えば「3カ月物定期預金のキャンペーン金利年6%」などと表記されているケースが、まさにその典型と言っても良いでしょう。

このように表記されていると、何となく「1年で6%か。ということは100万円を預けると1年で6万円も利息がもらえるのだな」と思うでしょうが、これは錯覚です。なぜなら、冒頭に「3カ月物」と表記されているからです。

確かに年6%のキャンペーン金利が1年間適用され続けるのであれば、1年で6万円の利息が得られますが、この手のキャンペーン金利は最初の満期が到来した時点で自動継続すると、その後からは通常金利に戻されてしまいます。つまり年6%の利率が適用されるのは、わずか3カ月間だけなのです。

ということは、1年で6万円ですから、3カ月はその4分の1なので、1万5000円になります。しかも昨今のような超低金利局面では、そこから自動継続で1年間運用したとしても、適用される通常金利は年0.002%程度なので、ほとんど利息は付きません。

数字は人をだますことがあるという考えを常に持つようにすると、数字のトリックにだまされるリスクを減らすことができます。