実は国内でも十分カバーできる金額

日本から中国本土と香港への水産物輸出額は、2022年の1年間で1626億円(中国本土向けが871億円、香港向けが755億円)でした。何しろ1626億円ですから、1000万円にも満たない年収で日々の生活を送っている私たちからすれば、大変な損失であるように思えるかもしれません。

しかし、1626億円を日本の総人口に照らして考えてみたらどうでしょうか。

日本の総人口は、総務省の「人口推計 2023年7月報」(令和5年7月20日)によると、2023年2月1日時点(確定値)で、約1億2463万1000人います。

このうち、魚を比較的積極的に食べると思われる15歳以上の人口は、約1億1023万6000人です。1626億円を、約1億1023万6000人で割ると、1人あたりの金額は約1475円になります。

つまり、私たち日本人が1年間で1475円、現在よりも余計に水産品を食べれば、中国マーケットがなくなったとしても、十分、国内でカバーできることになります。この数字を見ると、ニュースでそこまで騒ぐほどのことなのか、と疑問に思ってしまいます。

もちろん、中には打撃を受ける漁業関係者もいるでしょう。大半を中国シフトに切り替えた漁業関係者がいたとすれば、その人は大きなダメージを被り、倒産に追い込まれるかもしれませんが、大きな視座から1626億円を見る限りでは、ほぼ取るに足らない問題と言っても良いでしょう。

ちなみに、日本政府が新型コロナウイルスの感染拡大時に補正予算を通じて行った財政出動の金額は77兆円ですから、1626億円はそのわずか0.21%に過ぎません。その程度の話を大げさに取り上げているだけのことなのです。