国内で設定・運用されている公募投資信託の本数は、2023年6月末現在で約5920本あります。これだけ本数が多いと、投資信託の種類も多種多様です。

運用スタイルで言えばアクティブ型とインデックス型。投資対象では国内株式型、海外株式型、国内債券型、海外債券型、それらをすべてミックスしたバランス型、コモディティ型、REIT型に至るまで、投資信託というビークルを通じてアクセスできない資産クラスはないのではないか、と思えるくらい、さまざまな種類の投資信託が取りそろえられています。

ただ、人間とは不思議なもので、選択肢は多いほど良いと思っているフシがあるものの、目の前にたくさんの選択肢を並べられると、かえって選べなくなったりします。

ですから、つみたてNISAの対象商品は246本に絞り込まれていますし、来年1月からスタートする新NISAの成長投資枠で購入できる投資信託の本数も、2000本前後になると言われています。とはいえ、2000本でも選ぶのは難しいような気がするのですが……。

投資信託の全体像が分かりにくい2つの理由

投資信託の全体像を把握しにくい要因は、①本数が非常に多いこと、②全体像を見渡すことのできる情報が少ないことです。

一般的に投資信託は、証券会社や銀行といった販売金融機関を通じて、個人に販売されていますが、たとえばA証券会社の窓口で、約5920本あるすべての投資信託が買えるわけではないのです。

これが株式であれば、どこの証券会社の窓口でも同じ株式を売買できますが、投資信託の場合、投資信託会社と特定の販売金融機関の間で販売契約を結んで販売されるため、A証券会社とB銀行とでは、取り扱っている投資信託に違いが生じてくるのです。

当然、販売金融機関を通じて個人受益者に流される投資信託の情報は、自社が扱っている投資信託のものに限られてきますから、一販売金融機関を通じて個人受益者が受け取れる投資信託の情報は、かなり限定的になってしまうのです。

具体的に言うと、たとえば直近、どのようなタイプの投資信託が好成績を収めているのか、新規設定された投資信託はどういうものがあるのか、資金の流出入状況はどうなっているのか、純資産が大きな投資信託にはどういうものがあるのか、などの情報は、インターネットを検索してもそう簡単にヒットしません。