事件化しなければ警察も動けないジレンマ

この商品のうさん臭さについては、雑誌の記事で警鐘を促したものの、具体的な被害者が出て来なかったため、そのまま販売が続けられました。

これは他の多くの金融詐欺にも当てはまりますが、事件化しない限り、警察はアクションを起こしません。よほどの確証をつかめない限り、疑わしいという段階では、捜査に着手できないのです。

もちろん、それ以前に金融庁など金融を監督している省庁が動いて、詐欺的な事業者に勧告を出すケースはありますが、そもそも悪意を持ってお金集めをしている連中ですから、金融庁の勧告程度で活動を止めることはありません。警察も事件化しない限りは捜査に着手しませんから、この間に詐欺の被害はどんどん増えていきます。

しかも、金融詐欺を行う連中は、そう簡単に尻尾を出しません。発足して数年間は、他の人から巻き上げた資金を使って元本の償還や利払いに応じるのです。

これは完全な自転車操業なので、必ずどこかで破綻するのですが、そうなる前に元本の償還や利払いを行って信用させ、さらに多くの資金を引き出そうとします。こうして詐欺被害はどんどん大きくなるのです。

したがって、怪しい業者に対してはいち早く、その活動を停止させるようにする必要があるのですが、現実問題としてそれがなかなかできないところに、ジレンマがあります。

G&G社の被害も、こうしてどんどん広がっていきました。G&Gが国内で営業を開始したのが1998年8月。同年12月には、当時の金融監督庁が「投資信託に該当しない」ということで注意処分を行いましたが、そのまま販売は続行され、結局、首都圏を中心にして約600人から、合計約18億円もの資金を集めてしまったのです。

この時点でG&G社の自転車操業が破綻して被害者が出ていれば、これで被害は食い止められたところですが、事態はさらにとんでもない方向へと進んでいきました。