最近、どこへ行っても、何を買っても、全体的に物価がどんどん上がっている印象を受けます。印象だけではアテにならないこともあるので、本稿では具体的な数字を見てみましょう。主には、この1カ月くらいの間、ニュースで報じられたものや、リサーチ会社が公表したレポートに記されているデータを活用して、実際にモノの値段が上がっているのかどうかを考えてみます。
消費者物価指数で見る「物価上昇」の流れ
まず、全体的な物価動向を見るうえで参考になる、「消費者物価指数」(令和5年8月18日)の最新データを見てみましょう。今、公表されている最新データは、2023年7月時点のものです。
対前年同月比で見ると、「総合」が3.3%、「生鮮食品を除く総合(コアCPI)」が3.1%、そして「生鮮食品およびエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」が4.3%となりました。
ここでは、コアコアCPIの数字に注目します。
これは消費者物価を見る際の基本ですが、生鮮食品の価格は、天候など気象条件によって大きく左右される傾向があり、エネルギー価格は、国際情勢・政治の動向に影響を受けやすいため、これらの影響を除外した消費者物価指数の方が、国内の経済情勢をよりクリアに反映すると考えられるからです。
生鮮食品やエネルギーも含めた総合は、2023年1月時点の対前年比が4.3%でピークを付けた後、上昇率は徐々に低下し、7月時点で3.3%です。対してコアコアCPIの前年同月比を見ると、2023年1月が3.2%だったのが、7月時点で4.3%まで上昇してきました。
このように、コアコアCPIの前年同月比上昇率が徐々に切り上がっているのは、さまざまなところで価格転嫁が進んでいるからと考えられます。
食品は9月に2000品目が値上げ予定
では、次はもう少し身近なところの物価に、目を向けてみましょう。
帝国データバンクが食品メーカー主要195社の価格改定動向を調査したところ、2023年8月に値上げされた品目数は1102品目となりました。同月に値上げされた食品は、乳製品や調味料、シリアル製品など多岐にわたった模様です。
さらに9月は、調味料やお菓子を中心にして約2000品目の値上げが予定されているそうです。
2023年通年における値上げ品目数は、累計で3万710品目と見られていて、これは2022年通年で値上げされた2万5768品目を大きく上回っています。
ちなみに消費者物価指数には、品目別の物価動向も調査されており、そのうち「生鮮食品を除く食料」の前年同月比を見ると、2021年6月が▲0.1%で、2022年1月が1.3%と低めに推移していたのが、2022年中、2023年を通じて上昇し続け、2023年7月のそれは9.2%となりました。
それだけ幅広い食品において価格転嫁が進んできた証拠です。スーパーの店頭で、思わずため息が出てしまいそうな数字ですね。