倒産する企業が増えているワケ

さらに問題なのは、企業倒産がかなりのピッチで増加していることです。
これも東京商工リサーチの「全国企業倒産状況」の調査によるものですが、2023年7月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)の件数は758件で、前年同月比53.44%増と大幅に膨らみました。

コロナ禍による行動規制が行われていた時は、各種補助金・助成金で一時的に資金繰りが改善され、倒産を免れていた中小企業も少なくありませんでした。

しかし、経済活動が正常化していくなかで政府の資金繰り支援が終了し、実質無利子・無担保で実行された「ゼロゼロ融資」の返済が本格化してきました。

その上、物価の高騰に人件費の上昇が加わり、特に中小企業の資金繰りが急速に悪化しているのです。業績が大幅に改善すれば、何とか乗り切れるのかもしれませんが、コロナ禍明けの景気回復ペースは鈍く、それを反映して業績の伸びも望み薄です。

大企業のように、多額の内部留保を持っていない中小企業を取り巻く環境は、決して楽観視できません。ちなみに中小企業庁の調査によると、日本で雇用されている従業員全体のうち約7割は、中小企業で働いています。

つまり、この先も物価上昇が続けば、全体の7割を占めるとされる中小企業で働いている人たちの家計が、一段と苦しくなる恐れがあるのです。