神林真理子さん(仮名)は大手メーカーに勤務するシングル女性。“均等法世代”で、男性社会の中で苦労しながら女性社員のキャリアを切り開いてきました。家や子育てにお金をかけることなくひたすら仕事に邁進したこともあり、55歳の今、8000万円もの金融資産を保有しています。
最近、苦楽を共にした同期の女性2人が役職定年を機に退職したことから、神林さんもリタイアを考え始めました。唯一の親族である姉一家には頼りたくないと自身の終活も含めたマネープランを検討すべく、あるファイナンシャルプランナー(FP)に相談を持ちかけます。
しかし、そこで提案されたのが変額保険への加入でした。これまで値動きの激しい金融商品への投資を極力避けてきた堅実派の神林さんには、どうも納得できません。
そこで“セカンドオピニオン”を求めてある専門家のもとを訪れます。「最初は頼りない印象だったんです。でも今思えば、本当にラッキーでした」と振り返る、その専門家との出会いを神林さんに聞きました。
〈神林真理子さんプロフィール〉
東京都在住
55歳
女性
大手メーカー勤務
シングルで一人暮らし
金融資産8000万円
支給予定の退職一時金2000万円
同期の退職で気になり始めた自らの定年後
私は、男女雇用機会均等法が施行されてから5年後に総合職としてメーカーに就職しました。広義の“均等法世代”と言えるでしょう。
中学・高校・大学と女子校だったので、20代の頃は結婚したら家庭に入ろうと思っていました。実際、当時の同級生の多くは専業主婦になっています。しかし、残念ながら「この人と結婚したい」と思うような相手に出会えないまま、55歳の今に至っています。
パートナーにも子供にも恵まれなかった分、仕事は頑張りました。販売から出発して商品開発、企画宣伝などの部署を渡り歩いて、広報課長で今年役職定年を迎えました。社内では女性として初めてグループリーダー、係長、課長となった世代で、男性中心の企業社会の中ではいろいろ大変な思いもしました。
そんな苦労を分かち合った同期の女性が5人残っていたのですが、うち2人が役職定年を機に退職したこともあり、私も自分の身の振り方を考えるようになりました。
仕事については“やり切った感”があり、残りの人生がどれくらいあるかは分かりませんが、好きなお菓子作りやアート鑑賞を楽しんだり、たまには仲間と海外旅行に出かけたりして過ごしたいと思っています。