パナソニックがテスラ株の大もうけを喜べない理由
パナソニックはEV大手のテスラに車載電池を供給していることで知られています。パナソニックは2007年にテスラ(当時はテスラ・モーターズ)と提携し、2010年にはテスラ株式140万株を3000万ドル(約24億円)で取得しました。また2014年には当時世界最大規模の生産能力を持つ「ギガファクトリー」の建設でも協力を発表しており、両社の蜜月関係は盤石かと思われていました。
しかし2021年6月、パナソニックが公表した有価証券報告書から、同社が2021年3月期に全テスラ株式を売却していたことが判明します。売却代金は約4000億円とみられており、約24億円の出資額をおよそ166倍にまで増やしたことになります。当時テスラ株式は急騰しており、パナソニックは大きな利益を得ることとなりました。
【テスラの株価(月足終値 2010年7月~2021年3月)】
出所:Investing.comより著者作成
巨額な利益を得たはずのパナソニックですが、今後の先行きを心配する声は少なくありません。パナソニックによるテスラ株式の売却が明らかになって以来、両社の関係を危惧する報道がますます増えています。テスラは以前から電池の自社生産を計画していると伝えられており、またパナソニックはテスラ以外のEVメーカーへ電池の供給を拡大しています。
テスラは2022年のEV販売で世界1位のシェアを持つとみられており、パナソニックにとっては重要な顧客の1つです。テスラ株式の売却後も両社は提携を続けるとしていますが、今後の動向が注目されています。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)