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家具・インテリアの製造小売りでトップクラスのシェアを持つ「ニトリホールディングス」は学生人気の高い企業です。業績も優良で、2022年2月期までに35期連続で増収増益を達成しました。投資家にとってニトリホールディングス株式は安心感のある銘柄だったといえるでしょう。
しかし近年は陰りが見え始めています。2023年3月期は円安などの影響から最終減益に転じ、翌期の予想では減収を見込みました。株価もそれを織り込んでいたのか、2021年後半から値下がり基調を強めています。
【ニトリホールディングスの株価(月足、2020年4月~2023年4月)】
出所:Investing.comより著者作成
【ニトリホールディングスの業績】
出所:ニトリホールディングス 決算短信
市場の注目を集めるニトリはどのような企業なのでしょうか。焦点を当ててみましょう。
ライバル店の出現で倒産の危機… ピンチをチャンスに変えた出来事とは
ニトリは似鳥昭雄(にとり・あきお)氏が一代で築き上げた巨大家具グループです。1967年、札幌に「似鳥家具卸センター北支店」という小さな家具店を出店し、その歴史がスタートします。この店名には仕掛けがあり、小売店ながら「卸センター」を冠することで安くて広い印象を与え、また1店舗目ながら「北支店」とすることでいくつも店舗があるように思わせる狙いがありました。
近くに家具店がなかったこともあり、初号店の売上高は順調に拡大します。しかし国道沿いに出店した大型の2号店は、近くにさらに大規模なライバル店が出店し、売り上げが激減しました。借金が膨らみ、ニトリは早くも倒産の危機を迎えます。
しかし、このピンチはニトリにとって成長のきっかけとなりました。廃業の危機にひんした似鳥氏は、いちるの望みをかけアメリカへの視察を決定します。そこで日本より品ぞろえや機能が充実した家具が日本の3分の1ほどの値段で販売される現場を目にし、大きなショックを受けました。
似鳥氏は同様のビジネスモデル、つまり品質の高い商品を低価格で販売する戦略の実施を決意します。これは現在までニトリが標榜する「お、ねだん以上。」に他なりません。
ニトリは1973年にメーカーからの直接仕入れに乗り出し、より安く商品を提供できる体制を目指しました。さらに1985年には海外商品の直輸入を始め、1994年には海外の工場で自社生産を始めます。これらの取り組みはニトリの価格競争力を飛躍的に向上させ、同社の販売力を強力に押し上げました。