ニトリの発展を支えた物流戦略

ニトリが成功した理由は、同社の物流戦略にもあるでしょう。

ニトリは早くから物流の効率化に取り組んだ企業としても知られます。1980年には流通業界で初めて自動立体倉庫を稼働させ、1993年に本州へ初進出したあとは同様の物流拠点を関東や関西に積極的に配置しました。同社の物流部門は2010年に「ホームロジスティクス」として独立し、現在は国内人口の98%をカバーするほどの物流網を敷いています。

自社で物流を確保したことは、ニトリにとって僥倖でした。近年はECの台頭やトラックドライバーの減少問題から物流の現場はひっ迫しており、物流コストは増加傾向にあります。しかし自社に物流会社を持つニトリは、比較的小さい物流コストを実現してきました。

【売上高物流コスト比率(2022年度)】

 

出所:ニトリホールディングス「2022年3月期決算説明会資料」および日本ロジスティクスシステム協会「2022 年度 物流コスト調査報告書」より著者作成

物流を自社で賄うメリットは単に費用面にとどまりません。家具の組みたてや設置などを行う「組立配送」や、アプリを通じ店舗から注文できる「アプリde注文」など、ニトリの柔軟なサービスにつながっています。