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2023年4月27日、NHK(日本放送協会)の業務を検討する総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」の第7回会合が開催。産経新聞の報道によると、スマートフォンなどで放送を視聴可能な人からの受信料収入が、NHKの財源として望ましいとの意見が有識者間で一致したという。

かねてからNHK受信料については「公共の電波なのに、テレビを持っているだけで支払いを強制されるのはおかしい」などと、疑問の声をあげる世帯が一定数いた。そのうえ、スマホユーザーにまで費用負担を求めるとなると、さらなる議論の的となりそうだ。

ここではNHKが通信領域に重点を置き始めた背景について、「そもそもNHKとはどのような組織なのか?」などをおさらいしつつ、ひもといていこう。

大手グループ企業さながらの規模を誇る特殊法人

国の行政機関でもなく、民間企業でもない… NHKがいったいどのような組織なのか、疑問に思う人もいるだろう。

NHKの起源は戦前までさかのぼり、1925年に日本で初めての放送を行った「東京放送局」など、放送黎明(れいめい)期に政府から事業許可を受けた複数の公益法人が主な母体だ。その後終戦からほどなくした1950年、日本の放送の基本的ありかたについて定めた「放送法」にもとづく特殊法人として設立された。

特殊法人とは公団・公社や金庫など、国に必要な事業のうち能率性などの観点から「企業的経営」がなじむと判断されたものについて、これを行わせるために特別な法人格を与えられた事業体を指す。

行政機関などとは違い、可能な限りの自主性を重んじて経営されるのが大きな特徴。しかし事業計画など特定の領域において、国会の承認や所轄官庁などの監督を必要としている。NHKの場合は以下のような国の規制がある。

 

出所:総務資料「NHKのガバナンス等について」

NHKが「国に必要」として提供する事業が「公共放送」。その定義についてはさまざまな議論があるが、NHK自身は特定の利益や視聴率に左右されず、信頼性のある「公共の福祉のために行う放送」などを特徴としてあげている。

例えば、NHKが公共放送の意義としてあげる事例が、緊急災害時における大幅なタイムテーブルの変更だ。これはスポンサー広告などの利害関係が絡む民間放送局では、比較的行いにくいだろう。また、古典芸能や教養・福祉に関する放送など、市場性や視聴率で測ることが難しい放送も特徴といえる。

非営利を旨とする方針は法にもとづくもので、放送法により、NHKは自ら営利目的の事業を行ってはならないとされている。このように公的事業を担う行政機関のような性格を帯びる一方、複数の事業会社に株主として出資するグループ会社のような側面も持ち合わせる。

NHKが出資した企業は「子会社」や「関連会社」と呼ばれる。そのほか、NHKに関連する公益事業を担う一般財団法人、学校法人、社会福祉法人などの「関連公益法人」もある。

これらすべてを総称して、NHKの「関連団体」という。2023年4月1日現在、関連団体は子会社12社、関連会社4社、関連公益法人など6団体の計22団体。大手ホールディングスさながらの規模を誇っている。