受信料の公平負担を求めて割増金制度も導入
そんなNHKは、国からの一部交付金を除いて、基本的に自立した財政基盤を築いている。冒頭でも述べた「受信料」の制度であり、これはNHK放送を受信できるテレビ保有世帯から定期的に徴収する費用を指す。
NHKは収入を国家やスポンサーといった特定の利害関係者に依存しないことで、外部からの関与を受けにくい「表現の自由を守る言論報道機関」を掲げてきた。受信料はNHKのアイデンティティーの根拠となるビジネスモデルといえる。
こうした背景もあってか支払率を高く維持するためにも、NHKは文書・電話そして訪問営業などを通じて受信料の公平負担を強く求めてきた。
2024年4月からは、正当な理由なく受信料負担を逃れてきた世帯に対し、支払わなかった費用の2倍相当額を請求する割増金制度も導入。NHKは「一律に請求するのではなく、顧客の個別事情を総合勘案していく」としているが、制度の運用次第で新たな論争を呼び起こしそうだ。
なお、NHKは受信料以外にも収入があり、前述した交付金収入のほか、DVD・出版物などによる副次的収入や、利息・配当金など財務収入、固定資産売却益などさまざまだ。
こうしたもろもろの収入を含め、NHKの決算は公式ホームページにて公開されている。2022年半ばに発表された2021年度決算では、事業収入が約7009億円。そのうち、受信料収入は約6801億円と97%程度を占めている。