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コロナショックが落ち着き、壊滅的な打撃を受けた航空業界に復活の兆しが表れ始めています。大手の一角「ANAホールディングス」は、2023年3月期に3年ぶりの黒字を確保しました。株価も、コロナ前の水準まではまだ距離がありますが、大底圏からは脱したように見えます。

【ANAホールディングスの業績】

※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想

出所:ANAホールディングス 決算短信

【ANAホールディングスの株価(月足、2019年12月~2023年4月)】

 

出所:Investing.comより著者作成

危機的な状況から脱した企業の株式は、時に大きく値上がりします。コロナからの脱却が進む今、ANA株式に注目している人も多いのではないでしょうか。その参考となるよう、ANAの歴史や業績を紹介します。

わずか2機のヘリコプターでスタートした日本の翼

ANAホールディングスの前身である「日本ヘリコプター輸送」は1952年に誕生しました。1年早く生まれた日本航空(JAL)は政府の出資を受ける半官半民の航空会社だった一方、ANAは純粋な民間エアラインとしてスタートします。

※日本航空が政府の出資を受けたのは1953年。1987年に日本航空株式会社法が廃止され完全民営化した。

ANAは今でこそグループで270機以上の航空機を保有(2022年3月末時点)していますが、発足当初はわずか2機のヘリコプターしかありませんでした。主要な航空会社の多くが政府主導で運営されていた当時、「敗戦国の民間航空会社」は無謀な挑戦だったのかもしれません。

しかし、ANAは果敢に空を目指し着実に成長していきます。1953年に日本人操縦士による戦後初の定期便を東京・大阪間で就航させると、1962年には戦後初の国産旅客機「YS-11」のテストフライトを成功させました。また世界で初めて機内テレビ放映を実施したのもANAでした(1964年)。これらの取り組みにより、1985年には日本の航空会社で初めて累計旅客数3億人を達成します。

1986年には初の国際線定期便として東京・グアム間の就航を果たしました。これを機に同社の国際線ネットワークは拡大し、就航30周年となる2016年には国際線の累計搭乗者数が1億人を突破しています。

ANAの挑戦は2000年に入っても続きます。2011年にはANAが開発から携わった「ボーイング787」を世界に先駆けて導入したほか、2017年にはLCC大手のピーチ・アビエーションを子会社化 しました。失敗を恐れず挑戦を続けるANAの精神は、同社が今日まで成長できたことと無縁ではないでしょう。