ANAの翼は宇宙に届くか

ANAは、実は早くから宇宙ビジネスに取り組んでいることはあまり知られていません。2015年に発表した長期戦略構想で「次は、宇宙へ。」と宣言し、2018年にはグループ内で「ANA宇宙事業化プロジェクト」が発足。2021年には「宇宙事業チーム」として組織化されました。

実績も少しずつ積み上がっています。2016年に有人宇宙機の開発を行うPDエアロスペースに出資したほか、2018年には遠隔ロボットを活用し宇宙関連事業の立ち上げを目指す「アバターXプログラム」をJAXAと共同でスタートしました。またポーラ・オルビスホールディングスと提携し、宇宙環境に適した化粧品の開発を目指すプロジェクトも順調に進んでいます。

もちろん多くの宇宙ビジネスが挑戦段階にあるように、ANAにおいても全てがうまくいっているわけではありません。例えばANAは2021年に米ヴァージン・オービットと人工衛星打ち上げについて基本合意を締結していますが、ヴァージン社は資金繰りに失敗し2023年4月に経営破綻しています。

これまで多くのチャレンジを成功させてきたANAにとっても、宇宙ビジネスは一筋縄ではいかないようです。ANAの翼は、大気の壁を超え宇宙に届くのでしょうか。今後の動向が注目されます。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)