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世界的にEV(電気自動車)へ移行する動きが強まる中、車載電池大手の「パナソニックホールディングス」に注目が集まっています。同社はEV向け車載電池で世界4位のシェア(2022年)を持つとされており、電池事業はパナソニックの重要な収益源となっています。2022年3月期は、セグメント別の営業利益率で車載電池などを含む「エナジー」が最大となりました。

【セグメント別の営業利益(2022年3月期)】

 

出所:パナソニックホールディングス 決算短信(2022年3月期)より著者作成

脱炭素の流れから、電池に対する需要は強まることが予想されています。日本を代表する電池メーカーでもあるパナソニックに、今後も期待が向かうかもしれません。

そこで、パナソニックとはどのような会社なのか、同社の沿革や過去のエピソードを振り返ってみましょう。

「経営の神様」松下幸之助が興した100年企業

パナソニックは、「経営の神様」とも称される松下幸之助(まつした・こうのすけ)によって創業された企業です。

わずか9歳から大阪で働いていた松下は、市電が電気で走るのを目にし「今後は電気の時代が来る」と確信します。そして15歳のとき、大阪電灯(現・関西電力)に見習工として就職しました。そこで松下は異例のスピードで出世し、電気事業の才覚を現します。

その後松下は独立し、1918年に現在のパナソニックホールディングス(当時は松下電器具製作所)を設立しました。画期的な製品を次々と世に送り出し、一代で大企業へと成長させます。

業績を拡大させた功績もさることながら、松下は経営に対する先進的な考えを持っていたことを支持されることが多く、死後30年以上たつ現在も氏を慕う声が後を絶ちません。

従業員や販売網の拡大から社会とのつながりを意識し始めた松下は、企業の在り方について熟考するようになります。そして1929年、「企業は社会の発展と生活の向上に貢献し、その報酬として利益がある」という考えに至り、その旨を「綱領・信条」として明記しました。

【1929年当時の綱領】
営利と社会正義の調和に念慮し、国家産業の発達を図り、社会生活の改善と向上を期す

引用:パナソニックホールディングス 社史

今でこそ利益のみ追求する企業は批判されがちですが、90年以上前に同様の考えを持っていたことは、まさに「経営の神様」と呼ばれるゆえんでしょう。この綱領は修正が加えられたものの、現在もパナソニックの「経営基本方針」として受け継がれています。