烏丸珠樹さん(仮名)は幼少期に父親に虐待され、別居後は一切連絡をとっていなかった。ある時、いとこから父親の病状を聞かされ、気は進まなかったが姉と一緒に病院を訪ねた。憎しみが全く消えなかった烏丸さんとは反対に、姉は一瞬で雪解けした。父親は3年後、89歳で亡くなった。
●父の入院先を訪ね、態度が一変した姉はくるりと手のひらを返した――。
※前編【絶縁した父と再会、「拘束された姿」見た姉が一変…見事な手の平返し】からの続き
相続
父親の死後、烏丸さん家族がかつて暮らしていた家とわずかな現金が遺った。
烏丸さんは父親の遺産に関して、「父の息のかかった物は何ひとつ要らない」と言い、相続を放棄。
母親は、
・父親の現金は要らない
・家に住む気はない
・家を売る場合、自分も苦労して建てたので、売れた金額の半分は欲しい
・家を売らずに借家にした場合、家賃の4〜5割程度は欲しい
と言い、姉も烏丸さんもそれに合意した。
ただ、姉は家を売ることを1人嫌がり、「リフォームして借家にする」と言うため、烏丸さんと母親は姉に任せることにした。
そんな中、母親が父親の遺族年金を受け取れないことが判明。日本年金機構の説明によると、別居して以降、父親とは完全に独立した生計だったことが理由だった。
「お国は冷たいなと思いました。父と離婚ができなかった母は、母子家庭手当ももらっていません。現在は自分の年金と、節約して節約してためた貯金を切り崩してやっと生活できている状況なのに……」