長い道のりで息切れしないために、まず日本株という選択も

なお、来年から始まる「新NISA」ではアクティブファンドだけでなく、個別株も成長投資枠の中で購入・保有することができるようになる。この背景にある政府の考えは、岸田内閣が掲げる「資産所得倍増プラン」に以下の通り明記されている。

「中間層がリターンの大きい資産に投資しやすい環境を整備すれば、家計の金融資産所得を拡大することができる。また、家計の資金が企業の成長投資の原資となれば、企業の成長が促進され、企業価値が向上する。企業価値が拡大すれば、家計の金融資産所得は更に拡大し、「成長と資産所得の好循環」が実現する」(第20回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 「参考資料」より)。

インデックス投資しか知らない投資家が見落としがちな視点だが、株式投資の本質は、表面的な株価の上下に一喜一憂することではない。個別株投資であれ、投資信託を通じた形であれ、自分の投じた資金が「成長投資の原資」となって利益を生み出し、持続的に成長を続けることにある。

こうした株式投資の本質的な意義を根気よく啓発していくことで、日本株投資に興味を持つ人も増えるのではないか。日本の企業のほうが、自分の投じた資金がどのように活用されているかを実感しやすく、心から応援したいと思える企業や産業のイメージも湧きやすい。言うなれば、より手触り感のある投資ができる。

以上見てきた通り、個人投資家も単に「日本株はS&P500よりもリターンが見劣りする」と決めつけるのではなく、もう少し広い視野を持って日本株アクティブファンドを掘り下げ、また、株式投資の意義についても理解を深めていけば、これまでとは違った見方ができるようになる。

資産形成は長い道のりとなる。新NISAで制度が恒久化されればなおのこと、途中で息切れしないために、投資の「引き出し」を増やしていくことが重要だ。「灯台下暗し」の状態とも言える日本株を、その最初の引き出しにしてみてはいかがだろうか。