政治や苦情、政府内での立場など、多くの調整を経て意思決定

仕組債を巡る騒動を、役所の論理を軸におさらいしてみた。当初から金融庁が一丸となって仕組債の排除を狙っていたわけではない。最終的に強硬策を取ったが、最初から合意されたシナリオやゴールがあったわけではない。少なくとも、傍からはそう見える。

監督官庁の方針が外部から判然としない要因や内部の論理で揺れたりしては、監督される民間の金融機関としては困ったことだろう。ただし、当局も限られた人員で多様な業務をこなし、さらには政治家やマスコミからの「圧力」を感じているとしたら、同情すべき点もある。

加えて、こうした制約や環境の中で活動していることは、見落とされている情報を提供したり別の角度からの議論を持ちかけたりする余地があることも示している。

執筆/霞が関調査班・みさき 透

新聞や雑誌などで株式相場や金融機関、金融庁や財務省などの霞が関の官庁を取材。現在は資産運用ビジネスの調査・取材などを中心に活動。官と民との意思疎通、情報交換を促進する取り組みにも携わる。