日本中で「空き家」が問題となっています。

総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」では、空き家数は900万1600戸と過去最多を記録。空き家率も13.8%と過去最高で、日本ではおおよそ7軒に1軒が空き家になっている計算になります。

「空き家」と聞けば、戸建てをイメージしがちですが、マンションの空き住戸も大量に発生しています。さまざまな不動産事業プロデュースに携わっているオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏に、見過ごされがちな「マンション空き住戸」の意外な現状を解説してもらいます。(全2回の1回目)

※本稿は、牧野知弘著『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)の一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ空き住戸になるのか

マンションという住宅形態が世の中に登場してから約60年の時が経過しました。マンションはストック数約700万戸というごく一般的な住宅形態となっています。【図表15】

 

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」によれば、2022年末現在で築40年以上のマンションは125万7000戸もあります。そしてその戸数は当たり前ですが年を経るごとに増加していき、10年後の2032年末には260万8000戸、2042年末には445万戸に膨らんでいきます。【図表16】

 

築40年以上ともなれば、分譲時点で30代から40代だった所有者はそのまま暮らしていれば70代から80代になっています。家族がいても子供の多くは独立。夫婦のうちの片方が亡くなる、あるいは高齢者施設等に入居するなどの高齢者単独世帯も増えてきます。同じく「令和5年度マンション総合調査」によれば、マンション世帯主の高齢化は急速に進んでいて2023年で世帯主が70代以上の住戸数は25・9%にも達しています。【図表17】